予算

インフルエンサー 報酬 相場の決め方:商品提供で足りる場合と、謝礼を足す場合

報酬相場の記事の多くは、フォロワー数でクリエイターの単価を決めています。商品を送るブランドが先に考えるべきなのは、商品提供だけで対等な取引になっているか、そして謝礼を上乗せするのはどの時点か、という点です。

Pozto チーム約 9 分で読めます

商品提供も報酬のひとつ

謝礼を決める前に、いまクリエイター1人あたりにかかっている費用を数えます。送った商品の販売価格に、送料と梱包費を足した額です。ブランドの箱に入れて送るキットは、ブランドにとっても、受け取るクリエイターにとっても、無料ではありません。

米国では、IRS(米国内国歳入庁)がクリエイター側の収入をこう捉えています。IRS Topic No. 420は、物々交換で受け取った物品やサービスについて「must include in gross income in the year of receipt the fair market value of goods or services received from bartering」(受け取った年の総所得に、その公正な市場価値を含めなければならない)と述べています。これは米国の考え方です。コンテンツと引き換えに商品を渡す取引はこの原則に当てはまるため、米国では、贈られた商品を課税対象になりうる収入として扱うクリエイターがいます。日本のクリエイターや自社の扱いについては、税理士に確認してください。「商品だけでは時間に見合わない」と言われたとき、背景にこうした事情がある可能性を頭に置いておくと話が進めやすくなります。

クリエイターごとの総コストを、管理用スプレッドシートの名前の横に書いておきます。この数字が、いまあなたが払っている金額です。以下のすべての比較の土台になります。

商品提供のみ、商品+謝礼、完全な有償依頼

取引の組み立て方は3つあります。それぞれ、得られるものが違います。

形態ブランドが払うもの得られるもの向いている場面
商品提供のみ商品と送料任意の投稿。タイミングも言葉もクリエイター任せ新しいクリエイターの試し、広めのシーディング
商品+少額の謝礼商品と固定の謝礼合意した1本の投稿、ゆるい期限、軽い訴求ポイント自発的に投稿して反応が良かったクリエイター
完全な有償依頼納品物に見合った報酬+商品投稿本数・日程・確認フロー、場合によっては二次利用や競合排除新商品の発売、日程が決まった施策、再利用するコンテンツ
行を分けるのは「合意した」という一語です。投稿を必須にした時点で、贈り物ではなく納品物を買うことになります。

商品提供は1人あたりのコストが低い反面、結果が読めません。送った相手の一部は投稿しませんし、投稿を求める立場にもありません。謝礼で買えるのは、リーチだけでなく確実性です。商品を送っても投稿がないことが一番の悩みなら、報酬を払う前にギフティングしたのに投稿されないときの対処を読んでください。

謝礼を払うべき依頼とは

基準は単純です。クリエイターが自分ならやらないことを頼むなら、その分は払います。次の依頼は、どれも報酬を上乗せする理由になります。

  • 投稿の保証。 任意の投稿を必須にするのが最も大きな一歩です。ギフティングから有償依頼に変わります。
  • 期限。 発売日や連休などの時期指定は、投稿できる時期を狭め、ほかの仕事を後回しにさせます。
  • 投稿本数や形式の指定。 TikTok1本とInstagramリール1本なら、作業は1本ではなく2本分です。
  • 訴求ポイントや事前確認。 台本どおりの訴求や修正対応は時間がかかり、クリエイターの裁量も狭めます。
  • 二次利用。 自社サイト、メール、広告での再利用は、コンテンツの価値をクリエイターのフィードの外へ広げます。取り決めは納品物のガイドの項目に沿って書き出しておくと整理できます。
  • 競合排除。 一定期間、競合商品を投稿しないよう求めると、クリエイターはほかの案件を失います。
  • ホワイトリスティング。 クリエイターのアカウント名義で広告を配信すると、その人の名前があなたの広告費に載ります。詳しくはインフルエンサーのホワイトリスティングをご覧ください。

このどれも求めないなら、丁寧な手紙を添えた商品提供で、小規模なクリエイターの多くには対等な取引になります。ひとつでも求めるなら、謝礼を付けるか、その依頼を取り下げます。

フォロワー数ではなく、結果から謝礼を決める

フォロワー数からわかるのは見込みの視聴者数です。実際にどれだけ届けられるかは、過去の投稿の再生数でわかります。ギフティングをしているブランドには、すでにより良いデータがあります。報酬なしで作られた、自社商品の投稿です。

  1. 01

    全体の再生単価を出す

    直近のシーディングにかかった総費用(商品、送料、梱包)を、そこから生まれた全投稿の合計再生数で割ります。投稿しなかったクリエイターも含めてください。そのキットの費用も、再生数のコストの一部です。計算はCPV計算ツールでできます。

  2. 02

    クリエイターの数字を集める

    その人のギフティング投稿について、同じ期間(各動画の公開後30日間など)の再生数、いいね、コメントを集めます。複数投稿している場合は中央値を使います。エンゲージメントはエンゲージメント率計算ツールで確認します。

  3. 03

    掛け算する

    見込み再生数に全体の再生単価を掛けます。いま払っている水準で見たときの、この人の1投稿の価値です。

  4. 04

    商品代を引く

    有償投稿と一緒に送る商品と送料を差し引きます。残りが、根拠を説明できる謝礼額です。

  5. 05

    依頼内容に応じて調整する

    二次利用、競合排除、ホワイトリスティング、短い納期があれば、基本額に上乗せします。軽い訴求ポイントだけの1本投稿なら、そのままにします。

仮の例です。直近のシーディングが40キット、1個あたり送料込みで$35、合計$1,400で、そこから出た投稿の合計再生数が120,000回だったとします。全体の再生単価は約$0.012です。ギフティング投稿が25,000回再生されたクリエイターなら、この単価で1投稿あたり約$290の価値になります。$35のキット代を引くと、約$255がこれまで再生数に払ってきた水準と釣り合う謝礼です。実際には、この数字ではなくご自身の数字を使ってください。

謝礼が自社の結果から出ていれば、クリエイターにも、予算を承認する人にも説明できます。

相場レンジの使いどころ

公開されている相場表は、フォロワー規模とプラットフォームでクリエイターを分けています。幅が広いのは、ジャンル、動画の形式、制作の手間、人気度、二次利用を含むか、1投稿単位の見積もりか一式の見積もりか、といった要素で金額が変わるからです。自分の数字が妥当かどうかはインフルエンサー報酬計算ツールで規模別の目安と照らして確かめ、総予算はインフルエンサーマーケティング予算のガイドで決めます。クリエイターの見積もりが再生単価から出した額を大きく上回るときは、反論する前に、何が含まれているかを聞いてください。

商品提供から有償に切り替える相手

有償依頼の最有力候補は、すでにギフティングのリストにいます。次の3つをすべて満たす人を探します。

  • 催促せずに投稿した。 自分から投稿したくなるほど商品を気に入っています。
  • ギフトを適切に開示していた。 ルールを守る人なので、あとで直してもらう手間がありません。キャプションの確認には開示チェックツールが使えます。
  • そのプログラムの中央値より再生数が多い。 比べる相手は、本人のフォロワー数ではなく、同じ回のギフティング投稿全体の中央値です。

補助的なサインもあります。購入先を尋ねるコメントがある、自社商品について複数回投稿している、商品が普段のコンテンツに合っている、といった点です。どれにも当てはまらない人は、商品提供のままにするか、リストから外します。フォロワー数だけを理由に有償へ移すのはやめましょう。

最初は1投稿分の控えめな謝礼で始め、有償投稿の結果が良ければ引き上げます。最初に大きく出して引っ込められなくなるより、段階的に上げるほうが安く済みます。

オファーの出し方

固定報酬か、納品物ごとか。 小さな案件では、1投稿と合意した追加事項をまとめた固定報酬が一番わかりやすい形です。大きなパッケージでは、動画1本ごとの報酬、二次利用の項目、競合排除の項目と、納品物ごとに分けて見積もります。予算が厳しいときも、全体を交渉し直さずに、項目をひとつ外すだけで調整できます。

支払いのタイミング。 少額なら、投稿の公開後に払うブランドが多くあります。大きな案件では、契約時と投稿後に分けて払うことも一般的です。どちらにしても、商品を送る前に決めておいてください。

書面に入れること。 納品物、プラットフォーム、日程、訴求ポイント、確認の手順、開示、二次利用の範囲と期間、競合排除、報酬額と支払日です。出発点にはインフルエンサー依頼書テンプレートと納品物のガイドが使えます。コンテンツを再利用する予定なら、二次利用の条件もあわせて書面に入れてください。

オファーメール:商品提供から有償依頼へ
[名前]様

先月は[商品名]をご紹介いただき、ありがとうございました。投稿は弊社のお客様にもよく届いており、あらためて有償での投稿をお願いできないかと思い、ご連絡しました。

想定している内容は次のとおりです。
- [商品名]を紹介する[TikTok / リール / ショート]を1本、[日付]までに公開
- [ご自身の言葉で自由に / 訴求ポイントは2点:...]
- 前回と同じく、広告・PRであることがわかる形で開示
- [二次利用:[期間]、弊社の公式チャンネルで共有させていただきたい / 二次利用なし(投稿のみ)]

報酬:商品に加えて$[金額]。お支払いは[時期]を予定しています。

ご都合がよければ、確認用の簡単な依頼書をお送りします。通常のご条件が異なる場合は、含める内容を教えていただければ、あらためて相談させてください。

[差出人名]

有償でも商品提供でも、開示は必要

商品提供は原則として開示が必要で、有償の投稿も同じです。謝礼を足しても変わらないのは、現金でも商品でも両方でも、クリエイターが企業との関係をはっきり示す必要があるという点です。変わるのは、関係が明確に有償になることです。そのため開示にもそれを表すべきで、プラットフォームの公式ラベルを使うクリエイターも増えます。日本での扱いは日本のステルスマーケティング規制のガイド、各国の比較は国別の開示ルール、ラベルについては有償パートナーシップラベルのガイドで確認し、開示の要件は依頼書にも書いておきましょう。

チェックリスト:1人分の謝礼を10分で決める

  1. そのクリエイターに送った商品と送料の費用を書き出す。
  2. 依頼する内容を並べる。任意の投稿だけなら、商品を送ってここで終了。
  3. ギフティング投稿の再生数の中央値を、公開後30日間の同じ条件で集める。
  4. 全体の再生単価を掛ける。
  5. 商品代を引く。これが基本額。
  6. 二次利用、競合排除、ホワイトリスティング、短い納期があれば上乗せする。
  7. 結果をインフルエンサー報酬計算ツールで照らして確かめる。
  8. 過去のギフティング投稿で開示していたかを確認する。
  9. 商品を送る前に、納品物、日程、開示、報酬額、支払い時期を書面にする。
手順3と8には、ギフティングしたクリエイターの投稿データが必要です。Poztoは、商品を送ったクリエイターの公開TikTok、Instagramリール、YouTubeショートを監視し、タグがなくても自社商品が映る投稿を見つけ、ギフトの開示の有無を判定して、各動画の公開後30日間の再生数・いいね・コメントを集計します(EMVはStarterプランから)。Freeプランはアクティブなクリエイター10人まで、商品の検出は映像のみです。無料で始める

出典

  1. IRS (Topic No. 420, Bartering Income)

よくある質問

インフルエンサーに1投稿いくら払えばいいですか?

決まった正解はありません。クリエイターの過去のギフティング投稿の再生数の中央値に、自社の全体の再生単価を掛け、商品代を引き、二次利用・競合排除・短い納期があれば上乗せします。出した額はインフルエンサー報酬計算ツールで確認してください。

商品提供だけで足りるのはどんなときですか?

期限、台本、二次利用を付けず、任意の投稿をお願いするだけなら、特に規模の小さいクリエイターには、商品提供が対等な取引になることが多くあります。投稿を必須にする、日程を指定する、コンテンツを再利用するといった場合は、謝礼を足してください。

商品提供はクリエイターにとって課税対象になりますか?

米国では、IRSが、何かと引き換えに受け取った物品を、受け取った年の公正な市場価値の収入として扱うとしています(IRS Topic No. 420)。これは米国の取り扱いです。日本でのクリエイター側の扱いや、ブランド側の手続きについては、それぞれ税理士に確認してください。

有償の投稿は、ギフティング投稿と開示の方法が違いますか?

どちらも開示が必要です。謝礼を足しても要件はなくなりません。有償の関係がより明確になるため、開示もそれを反映させます。日本での扱いは日本のステルスマーケティング規制のガイドをご覧ください。

固定報酬と納品物ごとの報酬は、どちらがいいですか?

1投稿に軽い追加事項がつく程度なら、固定報酬が一番簡単です。複数投稿、二次利用、競合排除を含むパッケージでは、納品物ごとに見積もると、全体を交渉し直さずに範囲を調整できます。

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