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ステマ規制と商品提供:事業者が押さえるべきルール

2023 年 10 月 1 日から、ステルスマーケティング(ステマ)は景品表示法違反となりました。規制の対象はクリエイターではなく、事業者です。クリエイターに商品を提供し、投稿内容の決定に関与した場合、その投稿は事業者の広告とみなされ、広告であることを明らかにする必要があります。

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このページは一般的な情報であり、法的助言ではありません。消費者庁の告示、運用基準、Q&A、措置命令と法律の条文を 2026 年 10 月 27 日に確認して要約したもので、各出典へのリンクを付けています。個別のキャンペーンについては、弁護士にご相談ください。

規制の概要

不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、不当表示を禁止しています。第 5 条第 3 号は、内閣総理大臣が不当表示を追加で指定できると定めています。これに基づき、2023 年 3 月 28 日に「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和 5 年内閣府告示第 19 号、いわゆるステルスマーケティング告示)が指定され、2023 年 10 月 1 日に施行されました。要するに、広告であることを隠した広告です。消費者庁はステルスマーケティングに関するページで規制を解説し、運用基準とQ&Aで、どのように適用するかを示しています。

規制されるのはクリエイターではなく事業者

消費者庁のページは、対象は事業者だけだと明記しています。規制が適用されるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。事業者から依頼を受けて広告・宣伝を行うインフルエンサーなどの第三者は、対象になりません。Q&A は例外を 1 つ挙げています。インフルエンサーが広告主とともに商品・サービスを供給している場合です。

つまり、商品を提供したクリエイターの投稿が規制に違反した場合、措置命令を受けるのは貴社です。これまでの措置命令は、いずれも投稿した個人ではなく、ブランドを名指ししています。

クリエイターの投稿が事業者の表示になるとき

判断の基準は、事業者が投稿の表示内容の決定に関与したかどうかです。関与した場合、その投稿は、クリエイター自身の感想のように見えても、事業者の表示になります。運用基準は次のような例を挙げています。

  • 第三者に自社の商品について SNS や口コミサイトに投稿させる場合。
  • 商品を無償で提供して SNS への投稿を依頼し、クリエイターが事業者の方針や内容に沿って投稿するなど、自主的な意思による投稿とは認められない場合。
  • 明示的に依頼しなくても、今後の取引をほのめかす場合。 たとえば、投稿すれば今後の取引につながると示唆する場合も、事業者の表示になり得ます。

判断にあたり、消費者庁は実態を総合的に考慮します。事業者とクリエイターの間のやり取り(メール、電話、同梱の手紙など)、提供した対価の内容、その提供の目的(たとえば商品の宣伝)、関係性が過去にどのくらい続いてきたか、今後続くかなどです。対価は金銭や商品に限らず、経済上の利益であれば該当します。イベントへの招待も含まれます。

クリエイター自身の投稿になるとき

客観的な状況に基づき、クリエイターが自主的な意思で表示内容を決定したと認められる場合、その投稿は事業者の表示にはなりません。運用基準は次のような例を挙げています。

  • クリエイターが自らの意思で貴社の商品について投稿する場合(何度投稿しても同じです)。
  • 商品を無償で提供して投稿を依頼したものの、クリエイターが自主的な意思で表示内容を決定している場合。
  • 一般消費者に広くサンプルを配布し、受け取った人の一部が自主的な意思で投稿する場合。
  • 投稿を目的とせず、そうした関係性のない相手に通常のプレゼントを贈り、相手が自主的な意思で投稿する場合。

Q&A は、ギフティング(シーディング)にとって重要な線を引いています。街頭で誰にでもサンプルを配ることと、特定のインフルエンサーを選んで商品を送ることは別です。選んだ時点で、すでに一定の関係性があるからです。何を伝えたか、何を提供したか、その目的、過去や今後の取引の有無によって、その投稿は事業者の表示になり得ます。実際には、多くのギフティング施策はクリエイターを選び、フォローし、投稿を期待するものです。投稿には表示が必要になるものとして計画しましょう。

これまでの措置命令

消費者庁は違反を認定すると措置命令を行い、ウェブサイトで公表します。次の表は、ステルスマーケティング告示に基づく措置命令を、消費者庁自身の報道発表からまとめたものです。

措置命令事業者内容
2024 年 6 月 6 日医療法人社団祐真会(東京の診療所)Google マップに星 4 または 5 の口コミを投稿した患者に、インフルエンザ予防接種の割引を提供していました。
2024 年 8 月 8 日RIZAP(chocoZAP)対価を支払って Instagram に投稿させ、自社が依頼したことを示さずに、その投稿を自社ウェブサイトに引用していました。
2024 年 11 月 13 日大正製薬(サプリメント「NMN taisho」)商品を無償で提供し、対価を支払って Instagram に投稿させ、自社が依頼したことを示さずに、その投稿を自社の通販サイトに引用していました。
2025 年 3 月 17 日医療法人社団スマイルスクエア(矯正歯科)Google マップに星 5 の口コミを投稿すると、5,000 円分のギフトカードまたは 5,000 円の割引を提供するとしていました。
2025 年 3 月 25 日ロート製薬(サプリメント「ロートV5アクトビジョンa」)モニターサイトを通じて商品を無償で提供し、自社の方針に沿った Instagram への投稿を依頼したうえで、自社が依頼したことを示さずに、その画像を自社ウェブサイトに掲載していました。
2026 年 6 月 29 日高光製薬(食品「ノビルン」)モニターを募集して商品を無償で提供し、SNS への投稿を依頼したうえで、その画像を「SNSでも大人気!」として自社ウェブサイトに掲載していました。
2026 年 8 月 6 日Snow Corporation、SNOW Japan(アプリ「SNOW」)対価を支払い、自社の方針に沿って X に投稿させていました。投稿には、依頼を受けたものであることが示されていませんでした。
2026 年 10 月 20 日giobai(「FLEURISTE」)商品を無償で提供し、対価を支払って Instagram に投稿させ、自社が依頼したことを示さずに、その投稿を自社ウェブサイトに引用していました。
一部の措置命令(RIZAP、giobai)は、第 5 条第 1 号に基づくほかの不当表示も対象にしています。表にはステルスマーケティングに関する部分だけを記載しています。

ここには共通点があります。多くの事案は、クリエイターの投稿そのものではありません。ブランドが依頼した投稿を、依頼したことを示さずに「SNS で人気」のような見出しで自社サイトに転用したことが問題になっています。Q&A も同じ点を指摘しています。依頼した投稿を「お客様の声」として表示してはならず、転用する場合は、事業者が依頼したものであることが閲覧者に明瞭に分かるようにする必要があります。

有効な表示の例

運用基準は、事業者の表示であることを明瞭にする方法として、次の 2 つの例を挙げています。

  • 「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった文言。
  • 「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章。

Q&A によれば、投稿全体から明瞭に分かるのであれば、ほかの文言でも構いません。一方で、これらの文言を使っていても、投稿のほかの部分と合わせると分かりにくくなる場合は不十分だとしています。たとえば、冒頭に「広告」と書きながら、後で「これは第三者としての感想です」と書く場合です。

表示の位置

運用基準は、表示があっても明瞭とはいえない例を挙げています。

  • 投稿の末尾にあるなど、一般消費者が認識しにくい位置にある。
  • 周りの文字より小さい、または薄い、あるいは長い文章の中に埋もれている。
  • 大量のハッシュタグの中に埋もれている。
  • 動画で、表示時間が短すぎて認識できない。長い動画で、途中や最後にしか表示しない。

Q&A は 2 つの点を補足しています。投稿そのものではなく、その下のリプライやスレッドにだけ表示する場合は、通常は明瞭とはいえません。また動画では、冒頭だけの表示は途中から視聴した人に見逃されるおそれがあります。消費者庁は、「広告」などの表示を動画の全体を通じて画面に表示し続けることが望ましいとしています。

措置命令を受けると

  • 公表される措置命令。 景品表示法第 7 条に基づき、消費者庁は事業者に対し、表示が不当であったことを一般消費者に周知すること、再発防止策を講じること、今後同様の表示を行わないことを命じます。報道発表では、事業者名、商品、投稿の内容が公表されます。
  • まず指導となる場合もあります。 Q&A によれば、違反のおそれがあるものの違反とまでは認められない場合、消費者庁は行政指導(指導)を行うことがあります。
  • ステマ単独では課徴金の対象外。 Q&A によれば、ステルスマーケティング告示の違反は課徴金納付命令の対象になりません。ただし、同じ広告が品質や価格について優良誤認・有利誤認となる表示も含む場合は、対象になり得ます。
  • 措置命令に従わないと刑事罰。 措置命令に違反すると、2 年以下の拘禁刑または 300 万円以下の罰金(第 46 条)、法人には 3 億円以下の罰金(第 49 条)が科されることがあります。

2024 年 10 月 1 日に施行された景品表示法の改正では、優良誤認・有利誤認表示に対する 100 万円以下の罰金の直罰規定(第 48 条)、10 年以内に繰り返し違反した事業者への課徴金の 1.5 倍の加算、事業者が自ら是正措置を申請できる確約手続が導入されました。直罰の対象は優良誤認・有利誤認表示であり、ステルスマーケティング単独ではありません。ただし、広告であることを隠したうえでサプリメントの効果を誇張するギフト投稿は、その両方に当たる可能性があります。

商品を提供する事業者のためのチェックリスト

  1. 01

    ギフティングの投稿は自社の表示とみなす

    クリエイターを選び、商品を送り、投稿を依頼または期待したのであれば、投稿には表示が必要になるものとして計画しましょう。クリエイター自身の投稿として扱うのは、本当に内容に一切関与していない場合だけにします。

  2. 02

    依頼書に表示の文言を明記する

    キャプションの冒頭に「PR」または「広告」、あるいは「〇〇から商品の提供を受けて投稿しています」のような文章を入れるよう、書面でクリエイターに伝えます。表示はリプライやプロフィール欄だけでなく、投稿そのものに入れるよう依頼しましょう。

  3. 03

    動画内での表示も依頼する

    TikTok、Reels、Shorts では、「PR」または「広告」を画面に表示するよう依頼します。消費者庁は、動画の全体を通じて表示し続けることが望ましいとしています。

  4. 04

    やり取りの記録を残す

    消費者庁は、事業者が伝えたことや提供したものから関与の有無を判断します。依頼書、同梱の手紙、誰に何を送ったかを記録しておきましょう。

  5. 05

    すべての投稿を確認する

    商品を提供したクリエイターが、タグの有無にかかわらず貴社の商品について投稿したものを探し、表示があるか、冒頭近くにあるか、ハッシュタグに埋もれていないかを確認します。表示がなければ修正を依頼し、依頼した日時を記録しましょう。

  6. 06

    転用する投稿にも表示を

    これまでの措置命令の多くは、依頼した投稿を自社サイトに引用したブランドに対するものです。クリエイターの投稿を自社サイト、広告、「SNS で人気」のようなコーナーで使う場合は、自社が依頼したものであることを明記しましょう。

日本のルールで、いま 1 つの投稿を確認できます。

結果の見方
  • 明確に表記プラットフォームのタイアップラベル、冒頭にあるその国の広告を示す言葉(米国なら「#ad」)、またはその国が認めている場合はブランド名と並んだ提供の言葉。
  • 表記が不十分ブランド名のない提供の言葉(「#gifted」「#提供」)、その国が認めていない言葉(ドイツでの「#ad」)、またはキャプションが省略される位置より後ろに埋もれた明確な表記。
  • 表記なしキャプションのどこにも、提供品や広告であることが書かれていません。

ここでわかるのは、その国の言葉で見て投稿に何が示されているかで、法的に十分かどうかではありません。それは表記がどれだけ目立つかによっても変わります。 国別のルールを見る

Pozto は、クリエイターが動画の中で話し、見せている内容も含めて、すべての提供投稿をこのようにチェックします。 無料で始める

Pozto でできること

Pozto は、ギフトしたクリエイターの TikTok、Instagram Reels、YouTube Shorts を見守り、タグの有無にかかわらず商品が映っている投稿を見つけます。各投稿のキャプションから PR 表記の言葉を読み取り、それがキャプションの省略位置より前にあるかを記録します。読み取れる場合は、YouTube の有料プロモーションのフラグや Instagram の「Paid partnership」ラベルも記録し、チェックした動画では、クリエイターが口頭や画面で表記したかも記録します。

設定の「PR 表示のルール」で、「投稿を判定する国のルール」を日本にします。主に日本語で書かれたキャプションは、この設定にかかわらず日本のルールで判定されます。Pozto は各投稿を「PR 表示あり」「PR 表示が不十分」「PR 表示なし」で判定します。PR 表示あり:キャプションの省略位置より前に「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」、または「提供を受け」を含む文言がある場合、動画内でそのいずれかを口頭や画面で示している場合、またはプラットフォーム自体のラベルがある場合。PR 表示が不十分:「#ad」や「Sponsored」のような英語の表記、「#gifted」のようなギフトを示す言葉、またはキャプションのずっと後ろにある日本語の表記。PR 表示なし:何もない場合。

Pozto は、見つけた結果を伝えます。投稿が法律を満たしているかどうかは判断しませんが、確認すべき投稿と、修正を依頼すべきクリエイターが分かります。クリエイター 10 人まで無料で始められます。ほかの国については、国別のインフルエンサー PR 表記ルールをご覧ください。

よくある質問

ステマ規制はインフルエンサーにも適用されますか?

原則として適用されません。消費者庁によれば、対象は商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。事業者から依頼を受けて投稿するインフルエンサーは、広告主とともに商品・サービスを供給しているまれな場合を除き、対象になりません。措置命令を受けるのはブランドです。

インフルエンサーに商品を無償で提供すると、ステマになりますか?

それだけではなりません。事業者が表示内容の決定に関与した場合、たとえばクリエイターを選んで商品を提供し、事業者の方針に沿った投稿を依頼した場合に、事業者の表示になります。その場合は「PR」や「広告」などの表示が必要です。クリエイターが自主的な意思で内容を決めた場合は、事業者の表示ではありません。

日本では、ギフティングの投稿にどの表示を使えばよいですか?

消費者庁は、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」、そして「A社から商品の提供を受けて投稿している」のような文章を例に挙げています。投稿の末尾、リプライ、大量のハッシュタグの中ではなく、投稿そのものの冒頭近くに入れましょう。

動画の冒頭に「PR」と入れれば十分ですか?

十分とは限りません。消費者庁の Q&A は、冒頭だけの表示は途中から視聴した人に見逃されるおそれがあるとし、「広告」などの表示を動画の全体を通じて画面に表示し続けることが望ましいとしています。

ブランドが規制に違反すると、どうなりますか?

消費者庁は措置命令を行い、事業者名とともに公表することがあります。措置命令では、一般消費者への周知と再発防止が命じられます。ステルスマーケティング単独では課徴金の対象になりませんが、措置命令に違反すると刑事罰の対象になります。

クリエイターの投稿を自社サイトで使ってもよいですか?

自社が依頼したものであることが明瞭に分かる場合に限ります。これまでの措置命令の多くは、依頼した Instagram の投稿を、そのことを示さずに自社サイトに引用したブランドに対するものです。Q&A は、そうした投稿を「お客様の声」として表示してはならないとしています。