インフルエンサーマーケティングの EMV を、魔法の数字なしで
EMV(アーンドメディア価値)は、クリエイターの投稿で得た注目を広告として買った場合にいくらかかったかを推定する指標です。キャンペーンの比較には役立ちますが、簡単に水増しもできます。計算方法と、誠実な使い方を解説します。
EMV の意味
EMV は、直接お金を払っていない再生やエンゲージメントに金額を付けるものです。シーディングしたクリエイターの動画が 50,000 回再生されたとすると、EMV は「同じような 50,000 回の再生を有料メディアで買ったらいくらかかったか?」を問います。答えは想定する単価次第で決まります。それが EMV の強みであり、問題でもあります。
EMV は売上でも、リターンでもありません。EMV が $10,000 というのは「買えば約 $10,000 かかる注目を得た」という意味であって、「$10,000 を稼いだ」という意味ではありません。
代表的な EMV の計算式
統一された基準はありません。ほとんどの方法は、次の 3 つのいずれか、またはその組み合わせです。
1. 再生数ベース(CPM)
EMV = 再生数 ÷ 1,000 × CPM。CPM は、そのプラットフォームで広告を 1,000 回表示するのにかかる費用です。最もシンプルな方法で、再生数が主な指標となるショート動画に適しています。
2. エンゲージメントベース
EMV = いいね数 × いいね単価 + コメント数 × コメント単価 + シェア数 × シェア単価(+ 保存)。各アクションに金額を割り当てます。通常は、有料でエンゲージメントを得た場合の費用が基準です。コメントやシェアは、いいねより高く評価されるのが一般的です。
3. 組み合わせ
EMV = 再生数ベースの価値 + エンゲージメントベースの価値。ベンダーのツールでよく使われます。二重計上に注意しましょう。同じ人の再生といいねは、別々の 2 つのメディアではありません。
| 投稿 | 再生数 | いいね | コメント | シェア |
|---|---|---|---|---|
| TikTok の例 | 40,000 | 2,400 | 90 | 60 |
無料の EMV 計算ツールで、自社の数字を試してみてください。あえて、すべての単価を編集できるようにしています。
ベンダーごとに EMV の数字が違う理由
同じ投稿を 3 つのツールにかけると、まったく違う 3 つの EMV が出ることがあります。どれかのツールの不具合ではありません。前提がそれぞれ違うだけです。
- 単価が違う。CPM はプラットフォーム、国、オーディエンス、時期によって変わり、各ベンダーが独自に決めています。
- 入力値が違う。実際の再生数ではなく、フォロワー数や推定リーチを使うツールもあります。ショート動画では、フォロワー数は注目度を大きく過大評価します。
- 何を投稿として数えるか。商品がほとんど映っていなくても、タグ付きの投稿をすべて含めるツールもあります。ストーリーズや、一度も連絡したことのない人によるハッシュタグ付きの投稿を含めるツールもあります。
- 二重計上。組み合わせ型の計算式では、同じ人の再生といいねを二重に評価することがあります。
- 独自の係数。「コンテンツの質」やオーディエンスとの相性で重み付けし、その計算式を公開していないツールもあります。
つまり、異なるツールの EMV どうしは比べられません。比べられるのは、同じ方法・同じ単価で、時系列で出した EMV です。
EMV への批判
EMV には本気の批判者がいて、その指摘にも一理あります。EMV が測るのは注目であって、成果ではありません。商品が動画にはっきり映っていなくても、再生数を評価してしまいます。単価を甘く設定すれば、高くついた施策もお買い得に見せられます。そして「EMV $250,000」の横に「支出 $20,000」とあれば、財務チームが「差額の $230,000 はどこに?」と聞くのは当然です。
解決策は EMV をやめることではありません。得意なことに使うことです。
EMV が役立つとき
- 同じ方法で、波やキャンペーンを比較する:春のシーディングは、冬よりも 1 ドルあたり多くの注目を得られたか?
- 施策内でクリエイターを比較する:同じキットで、最も多くの注目を集めたのは誰か?
- マーケティング部門以外に再生数を伝える。ただし、数字の横に単価と方法を必ず示しましょう。
前提に左右されない数字と組み合わせましょう。
- 投稿率と投稿単価(商品シーディング ROI 計算ツールを参照)。
- 商品が実際に画面に映っているか、口に出されている投稿の再生数。
- コードやリンク経由の売上(計測している場合)。
EMV の単価の決め方
- 01
実際に払っている金額から始める
SNS 広告を出しているなら、プラットフォームごとの自社の直近の CPM を使いましょう。実際の数字なので、最も説明しやすい単価です。
- 02
単価は投稿ごとではなく、プラットフォームごとにひとつ
TikTok、Reels、Shorts で CPM を分けるのは妥当です。投稿ごとの単価は、都合のいい数字の選び出しにつながります。
- 03
エンゲージメントは控えめに
エンゲージメントの価値を加えるなら控えめにし、再生数ベースの価値に上乗せする場合はその旨を明記しましょう。
- 04
商品が映っている投稿だけを数える
タグは付いていても商品が一度も映らない動画は、商品への注目をほとんど集めていません。タグなしでも商品を見せた動画は集めています。キャプションではなく、動画の中身で数えましょう。
- 05
方法を書き留め、変えない
すべてのレポートの脚注に計算式と単価を記載しましょう。変えるのは年に一度だけにし、変えたときは過去の数字も再計算します。
商品シーディングと EMV
シーディングは EMV を使いたくなる誘惑が最も強い領域です。コストが低いうえ、一本のバズった投稿で比率がとんでもなく良く見えるからです。合計とあわせて投稿の中央値も報告し、一つの外れ値が波全体を背負わないようにしましょう。
最も難しいのは入力値です。タグが付いていないものも含め、商品が映っているすべての投稿の再生数が必要です。Pozto は動画そのものをチェックして、TikTok、Reels、Shorts からそうした投稿を見つけ、商品が映った秒数も表示します。EMV に入れる再生数が正しいものになります。詳しくはインフルエンサートラッキングをご覧ください。
よくある質問
インフルエンサーマーケティングの EMV は何の略ですか?
Earned Media Value(アーンドメディア価値)の略です。無償の投稿やクリエイターの投稿で得た注目を、有料メディアとして買った場合にいくらかかったかを推定したものです。
EMV はどうやって計算しますか?
最もシンプルなのは、再生数 ÷ 1,000 × CPM です。ほかに、いいね、コメント、シェアそれぞれに金額を割り当てる方法や、両方を組み合わせる方法があります。結果は選んだ単価で決まるので、単価を明記しましょう。
EMV は ROI と同じですか?
いいえ。EMV は注目の価値を推定するもの。ROI は得たお金と使ったお金を比べるものです。EMV は同じ方法でキャンペーンを比べるために使い、ROI には売上データを使いましょう。
ツールによって EMV が違うのはなぜですか?
ツールごとに、単価、入力値(再生数かフォロワー数か)、どの投稿を数えるかのルールが違うからです。EMV を比べられるのは、方法と単価が同じ場合だけです。
EMV にはどの CPM を使えばいいですか?
プラットフォームごとの自社の直近の SNS 広告の CPM が、最も説明しやすい選択です。ない場合は控えめな単価を選び、書き留めて、一貫して使いましょう。